気分転換

昨日長く続いた自公民政権から民主野党寄せ集め政権に政権交代しました。
野党でいるウチは好き勝手な事を言ってこられた新政権ですが、さて与党となった今、果たしてどこまでできるか。
危なっかしい政権である事は間違いありませんが、思わぬところでポロッと成果が出るかもしれません。
そのへんに期待しましょう。

という事で、宮崎正弘氏のメルマガを転載します。


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)9月15日(火曜日)
         通巻第2712号
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 リーマン破綻から一年が経って、未曾有の金価格、不気味な円高
  日米欧の関心は雇用と所得、鳩山次期政権は現実に対応出来るだろうか?
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 ▲政権交代ではなく、精神の後退である

 「9月15日」は“リーマン記念日”。
 鳩山政権は明日発足するらしい。しかし不思議や不思議、熱狂的期待感は皆無、酒井のりビー保釈と閣僚人事予測が同列のエンターテインメントになっている。
この一種壮大なニヒリズムは何だろう?

 本来のニヒリズムではなく、投げやり、明日のことはどうでも良い、難しいことは考えない。
そんな怪しい空気が日本を蔽っている。
 政権交代とか、個別、民主党の圧勝とかの区分けは表面的すぎないか、と多くの政治分析を眺めつつ一種違和感が私の脳裏に去来する。もっとも筆者には自民党を断固支持するというメンタリティはない。

 日本の「政権交代」は結果として、イデオロギーの交替でもパラダイムの交代でもなく、或る精神の後退である。
戦後日本の精神的混迷という極北状況の中で、導き出されたひとつの結論である。それは耐えられない日本の軽さの証明でもある。

 ブッシュ・シニアは湾岸戦争を主導し、国連決議を成立させてイラク空爆、圧勝をもたらした。
当時、アメリカ国民の人気は90%もの支持率を誇った。しかしパパ・ブッシュは再選されなかった。クリントンがいみじくも言ったように[Stupid,It’s Economy]だった。

パパ・ブッシュは選挙中にスーパー・マーケットに立ち寄り、庶民の味方という政治演出を試みたが、まったく物価を知らない実態を写し出され、国民の多くが反発し、アーカンソウの馬の骨(クリントン)にも票が流れた。保守革命を忘れたブッシュに保守側から挑んだロス・ペローによって共和党支持票がみごとに分割し、馬の骨が漁夫の利を得た。

 麻生首相は漢字が読めない漫画ファンというのはご愛敬にしても庶民の物価感覚がわからなかった。自民党支持票は大量に小沢ガールズに流れた。

 クリントンは学生時代にロシアに招待され、夫人のヒラリーはニクソン弾劾キャンペーンの活動家だった。
青春時代、いわば極左にいたクリントンの政権が誕生し、保守は不安視したが、しかし政権掌握後、クリントン夫妻が選択した政策は保守主義の濃い、中間路線だった。リベラル色濃い政策は議会が反対した。

おりからのITブームにも助けられクリントンは軽々と再選を果たした。民主党を支えたのは左派イデオロギーではなく、雇用と安定と所得の増加だった。


 ▲「Stupid,It’s Economy」とクリントンは言った

 その政策に息切れがでたときにブッシュ・ジュニアが本命ゴアを破って辛勝する。
ジュニアは反テロ戦争に打って出て、やはり90%近い支持率に支えられ再選されるが、政権最後の日々は不評さくさく、ブッシュ・ジュニアの後継になる筈だったジョン・マケインイラク戦争を表面にだして巧みに中盤戦をリードしたが、リーマン・ショック直後からの経済混迷の荒波にあっけなく飲み込まれ、どこの馬の骨とも分からないオバマに敗北した。
アメリカ国民が求めたのは『気分転換』だった。

共和党の敗因は経済であって、イラクでも、アフガニスタンでもなかった。アメリカ国民は雇用と所得に関心があり、外交問題は二の次、三の次だった。

 鳩山民主党は濃厚な左翼イデオロギーが支持されて勝ったのではない。経済である。
 つまり、選挙民にとって身近な問題は雇用と所得であり、失業増大、所得の目減りに対して殆ど無策と言って良かった自民党に対して体制保守、生活保守派さえ失望した。

 明日はどうなろうと、空気の入れ換えを求めた結果が自民党の大敗を産んだのである。経済政策に何かを期待して、民主党を選んだのでもなければ、中国政策に共鳴して投票したのでもない。
まさに「Stupid,It’s Economy」だった。

 さて鳩山政権は誰が見ても、というより世界水準から言って三流の政治家である。一流に絶対になれないことは誰もが知っているが、二流にはなれる可能性がある。
 それは何か?


▲「政治とは右を切り、左をきって中道を歩むもの」


 ヒトラーが名言を吐いたと三島由紀夫は『我が友ヒトラー』のなかで、次の台詞を用いている。
 「政治とは右を切り、左をきって中道を歩む」ものである。
 民主党イデオローグは左バネが強いが、そちらに傾斜すると政権の運営は難しいだろう。

 自民党改憲を謳い、靖国神社参拝を公約しながら実行せず、いやそれどころか後藤田、野中という極左を中枢に抱えて左傾化した。
 さらに自民党は連立相手の公明党バネに押されて政策を歪め、中道から左にぶれた。つまり自民党の無様な敗北は左傾化という誤断からだった。

 同様に鳩山民主党が党内党友の左派路線にぶれると基本の方向性を歪め、再選はあり得なくなるだろう。鳩山次期首相が党内左派の連合、日教組、同和路線を斬る蛮勇があれば、二流の仲間入りが出来るだろう。

 国民の多くは日米同盟の破綻を望んでいなければ、中国への急傾斜や東アジア共同体の成立を期待してはいない。雇用が安定し、所得が回復すること、外交にはそれほどの関心がないのである。
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借入モラトリアムの法制化を検討、10月の臨時国会に提出したい=亀井郵政・金融担当相
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=963526&media_id=52