失業の不安を一番感じているのはマスコミかもよ?

失業の不安を感じている20代が約5割というアンケート結果があるようですが、実はマスコミのみなさんが一番おそれているんじゃないですかね?

静かに進行していた既存マスメディアの没落が表面化し始めているようです。

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年) 12月18日(木曜日)
         通巻第2425号 (12月17日発行)
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金融危機ビッグスリーの次は新聞、出版界に未曾有の経営危機
 ゴミのマスコミは不要になって読者から捨てられるのか
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▲名門「ロスアンジェルス・タイムズ」が休刊の危機

12月初旬、シカゴに本社を置くトリビューン社が経営破綻し、チャプター11会社更生法)を申請した。
このニュースに世界中のメディア関係者が「明日は我が身?」と震えた。
 同グループには『シカゴ・トリビューン』のほか、西海岸最大の『ロスアンジェルス・タイムズ』、23のテレビ局などが含まれる。
 
すでに老舗名門の『クリスチャン・サイエンス・モニター』は紙媒体を休刊して、ネット一本のニュースの配信となった。
 欧米ではニュース媒体そのものが大変革を余儀なくされている。2006年から新聞業界が未曾有の危機に陥っていたのである。

 その直前までは新聞社、テレビ局チェーンの買収がもて囃され、M&A(企業合併、買収)によるグループ化が進んでいた。
 投資家のマックラチーは「ナイト・リダー社」を買収し、いきなり『マイアミ・ヘラルド』や『カンサスシティ・スター』紙のオーナーとなった。
 フィラデルフィアの投資家は『インクワイアラー』と『ディリー・ニュース』を買った。
 ヘッジファンド「アビスタキャピタル」社は、ミネアポリスの地域紙『スター・トリビューン』を買収し、ゲートハウス社は12以上のローカル紙を買収した。新聞社買収がブームだったのは2007年に終わった。

 ところが、こうした新聞社ビジネス衰退という見通しを誤断して、「新聞社は売りが出れば買い」という従来の考え方でニュース・ビジネス拡大に執着してきたひとつ、カリフォルニア大手の「メディアニュース」社も経営難の嵐に直面した。
 メディアニュース社は『サンホセ・マーキュリー・ニュース』など、カリフォルニアの地域紙を三十以上も矢継ぎ早に買収して太ってきた。なかには『オークランド・トリビューン』や『ロス・デイィリーニューズ』など比較的安定的な地域独占媒体も含まれる。
 このビジネスモデルは2007年まで有効だった。


▲つぎつぎと地域紙は廃刊の危機に追い込まれている

 カリフォルニアといえば新聞王国を築いたハースト家の地盤でもあり、じつはサンホセマーキュリーの買収にもハースト家は触手を動かした。米国の法律では同一資本がおなじ地域でのメディア独占を排除しており、ハースト家は名門『サンフランシスコ・クロニクル』紙を持っている。

 ムーディズ(格付け大手)は、メディアニュース社の負債が10億ドルに達しており、課税前の粗利益の九倍、ゆうに債務不履行状態として格付けの評価をおとした(12月16日、ヘラルドトリビューン)。

同時期に『ロッキーマウンテン・ニュース』が廃業、コロラド州の『デンバー・ポスト』とミネソタ州の『パイオニア・プレス』がまもなく休刊というニュースも伝わる(08年12月)。

 前掲メディアニュース社はコロラド州デンバーが本拠だが、サンフランシスコと南カリフォルニア人口爆発に魅力を惹かれ、インターネットが新聞を駆逐している現実を見ようともしないで、強気の買収を続けてきたのだ。
勝ち気の理由はバラバラの編集と印刷工程を統合し、各紙を整合性をもたせて合理的に編集してゆけば必ず儲かると考えたからだ。
 ネット時代に紙媒体のメディアは主収入の広告を年率15%で減らしていた。住宅着工比率の急減速とおなじペースだった。 

 二年前、有楽町の外国人特派員協会で、じつは奇妙なシンポジウムがあって筆者も出席した経験がある。
主要テーマは、「インターネット時代のジャーナリズム」というもので、次世代メディアはジャーナリズムの質とあり方をいかに変革するか、パネリストの熱心な討論があった。
 ところが大半の中味はといえば「俺たちのジョブはどうなるのか?」に終始していた。
「あれは在日外国人特派員らの失業予測対策だ」と同席したジャーナリストの徳本栄一郎が呟いた。

我が国でも朝日新聞が赤字103億円に転落というニュースがあり、以前からいつ倒産してもおかしくないと囁かれ続けた毎日新聞の列に加わる。
春に朝日新聞は新聞本体と出版局を分離し、『論座』の休刊を発表し、朝日文庫週刊朝日などは朝日新聞出版社に分社化されていた。
夏頃に一眼レフなど朝日新聞が社内倉庫に眠るカメラ、アクセサリーを中古業者を呼んでオークションにかけたと仄聞したときに「そこまで追い込まれたのか」と思った。

広告収入は、新聞ばかりか、テレビを揺さぶり「テレビ東京」の赤字が表面化したほか、各局が苦戦の最中で、悪しき例が出版界に及んだ。
朝日新聞は『論座』を休刊し、講談社は看板雑誌『現代』を休刊したが、つぎに『週刊現代』ではないか、と関係者は戦々恐々となっている。

団塊の世代がサラリーマンの現役の頃、同紙と『週刊ポスト』は百万部を越えて、競合していた。
黄金時代と囃された小学館集英社グループとて、赤字すれすれか、転落が予測されている。すでに学習雑誌の黄金時代は終わり旺文社、学習研究社は大幅に後退した。
文藝春秋』を地下鉄車内で読んでいると、女子学生がシーラカンスを見るような視線を感じたことがある。

チラシという日本独特の広告媒体とて、織り込むはずの新聞紙本体が部数を激減させていれば広告効果は薄らぐ。
家庭では新聞より先にチラシをみるのが主婦だが、いまや図書館へかよって新聞閲覧の前にチラシを読む人が増えている。
「チラシはどこへいった?」と図書館員に聞いている風景を実際に見たことがある。


▲宅配制度と拡張団が新聞メディアを蝕んでいた

日本の新聞界の場合、問題は宅配制度の維持と部数競争。このため売り上げの四割が専売制度の維持と拡張団経費に費やされてきた。
合理的に考えれば無駄な投資だった。
このシステムは、ほかの諸外国にはない。逆に言えば、この宅配制度に支えられて新聞経営は安泰としてこられた。昨日までの話だが。。。

五大紙の公表部数は三割前後が押し紙だ。
もっと露骨に言えば、部数の三割が無駄に印刷され、資源ゴミとして回収され再生される。ロスが生じるから森林資源が無駄にされている。それなのにマスコミは公害公害と、叫んでいる。
広告効果が上がらないと分かれば、スポンサーは降りるか、値引きを要求する。
広告代理店は悲鳴を挙げる。

この結果、朝日は広告収入が半減したと伝えられ、出版社が出稿する書籍広告代金は日本経済新聞のほうが高くなったと業界筋の話題となる。
雑誌広告もまったく同じで、自然淘汰の原則通りに多くの雑誌が休刊したが、つぎは面白くない雑誌メディアが淘汰されるだろう。

大手出版社でさえ赤字を許容できる範囲は一週刊誌で年間一億円までというのが業界の常識であり、となれば09年に維持されている週・月刊誌はいくら残るだろうか?
会社の顔と言われる『新潮』『文学界』『群像』とて。


▲製紙業界からも悲鳴が

部数激減は製紙業界をも急襲する。
GM倒産となれば下請け部品メーカーから孫請けに悪影響がでるように。
米国とカナダのメディアにとって、新聞用紙メーカー、アビティビボウオーターが経営危機に陥って、つぎは紙が主体のペーパーに印刷用紙(パルプ)が十分に行き渡らない危機にも直面する。
同社は新聞用紙年産が478万トン(ちなみに日本全体の生産量約390万トン)。
北米新聞界全需要の四割強をしめる。

 かくしてマスコミのビジネスモデルは次々と破綻し始めた。
 メディアミックス戦略は大々的な再考が促されている。
 90年代、ワーナーがTIMEを合併し、そこへCNNが加わった。
 新聞王マードックは豪州の新聞王から英国フリーとストリートへ乗り込み、片っ端から新聞を買い、ライバル=マックスゥエルを自殺に追い込み、つぎに米国へ進出し、FOXテレビを立ち上げ、世界配信のスターTVはスポーツ番組に特化して稼いだ。勢い込んで香港へ乗り込み、老舗の『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』を買収した。
 巨大グループ化が、成功へのビジネスモデルだった。

 日本はテレビ、ラジオの系列下が進み、朝日がテレビ朝日を毎日がTBS、文化放送を産経がフジ、日本放送を系列下したように日本経済新聞テレビ東京、ラジオ短波というメディアミックス戦略が行使された。
 このモデルへの挑戦は、米国投資家と組んだテレビ朝日株買い占め、ほりえもんのフジテレビへの挑戦、そして楽天のTBS株式大量取得へと繋がる。12月16日、TBS株主総会はホールディング会社への移行を決定し、これで楽天のTBS買収はあり得なくなった。
楽天は巨額の損失をだすことになるだろう。


 ▲いかにしてメディアは生き残るのか?

 この間、インターネットの時代が急速に迅速に進んでいた。
 世論がネットに移り、読者は大新聞の社説を見向きもしなくなり、新聞を学生が購読しなくなり、そしてメディアのあり方が変わった。

 フジ・メディア・ホールディングの日枝久会長はこういう。
 「(十九社グループを統合するホールディング会社となったが、今後も)選択と集中をしながらシナジー<相乗効果>を挙げ、将来はメディアのコンゴロマリットを目指す。わたしはメディアを新聞や雑誌、テレビ、ラジオというふうに捉えていない。メディアは人と人とを結びつけるもの」。したがって「通販もイベントもメディア」であると日枝会長は強調する。

 また角川グループ・ホールディングの角川歴彦会長は次のように言う。
 「新知識産業」時代には「知のネットワーク」が最重要であり、「グーデンベルグが発明した印刷技術で、本というコンテンツは五百年近く繁栄してきたわけですが、二十一世紀は動画の時代」(いずれも雑誌『財界』09年1月20日号)。

 通信社も様変わりである。
 ニュースの商人=ロイターはトムソンと合併した。APとならんで世界中に特派員を配置し、多方面をカバーしてきたが戦争特派員など経費がかさみ、赤字である。
 経済ニュース専門のブルームバーグが急速に伸びたが、これとて上限が見えてきた。日本では時事、共同通信の合併が何回も囁かれ、そして消えた。
 ワシントンを本拠に政治ニュースを売るポリテコ社は、二年前にテレビ局チェーンのオルブライトン・コミュニケーションズ社が創設したばかりだが、このほどロイターと提携し、ネットメディアに広告を売るビジネスを開始した。

 ブルームバーグダウ・ジョーンズが経済情報以外の販売を始めれば、逆にAPが経済情報の配信を始め、ロイターが新興勢力を提携先に選ぶという時代になった。
オバマ当選でみられたように、ネットが政治を動かしはじめ、新聞やテレビのあり方が大きく変わっている現状で、この動きは明日のビジネスモデルの一端をしめしているのかもしれない。

日本では騒がれなかったが、冒頭に紹介したシカゴのトリビューン社倒産劇は、つい二年前に82億ドルもの巨費を果たして買収したばかりのことで、新聞ビジネスの見通しが、この僅か二年でホップ・ステップ・ドボンとなった典型例である。
事態がここまで悪化している状況のもと、数年後、朝日新聞は生き残っているか?

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<失業の不安を感じている20代は約5割>
(Business Media 誠 - 12月18日 12:01)

 金融危機が世界を襲った2009年。個人の収入にはどれだけ影響が出ているのだろうか。

【拡大画像や他の表を含む記事】

 アイシェアの調査によると、「あなたの世帯の今の収入は、去年と比べどのように変化しましたか?」と尋ねると、「多くなった(かなり多くなった+少し多くなった)」は14.5%、「変わらない」は37.5%、「少なくなった(少し少なくなった+かなり少なくなった)」は45.4%だった。特に20代では、「少なくなった」が61.5%と目立って多くなっている。

 今後の収入の見通しについては、どう考えているのだろうか。「あなたの世帯の今の収入は、今後1年間、これまでと比較してどのように変化すると思いますか?」と聞くと、「多くなる(かなり多くなる+少し多くなる)」は13.3%、「変わらない」は34.0%、「少なくなる(少し少なくなる+かなり少なくなる)」は45.9%。この設問でも20代で「少なくなる」とした人は59.0%に達しており、悲観的な見通しを持っている若年層が多いようだ。

 企業の人員整理のニュースをよく聞くようになったが、失業の不安を感じている人はどれだけいるのだろうか。「あなたの世帯の主たる稼得者が、今後1年間で失業・廃業する心配はありますか?」と尋ねると、「心配がある(ある+少しある)」は37.3%。年代別に見ると、40代34.3%、30代37.2%、20代48.7%と下の年代になるほど失業の不安を感じている人が多くなっているようだ。

 携帯電話による調査で、対象は男女421人(男性52.3%、女性47.7%)。調査時期は12月2日から3日。